富山県富山市総曲輪に店を構える人気のフランス菓子専門店「ムッシュ・ジー」。2013年にオープンし、今年で6年目となる。シェフのジョスラン・ランボさんはフランス出身。幼少の頃から甘いものに目がなく、将来パティシエになるという道以外は考えられなかったそう。16歳より本格的にパティシエを志し、あらゆる国で修行を積み重ねる。そんな中、タヒチのボラボラ島での修行生活の中で出会ったのが現在の奥さん・乃理子さんだった。結婚のタイミングで独立し、奥さんの出身地である富山県にお店を出すことを決意した。
「富山県には仕事をするだけではなく、生活をしにいこうと決めました。最初は東京近郊でも考えましたが、自分にとってあまりにスケールが大きすぎた。一方、富山県は自然との距離感もいいし、仕事とプライベートのバランスが一番取れるのではないかと思いました」と話す。実際に住み始めて、山や海が近く、自然と触れ合える環境にとても感動したそうだ。
お店のオープンに向けて動き出すと、それは苦労の日々だったそう。本場のフランス菓子を富山の地で伝えていくことは、容易なことではなかった。まず、これまで使用していた材料が手に入らない。時間をかけて代わりとなるものを見つけ、使用したところで求めている完成形に近づかない。湿気の多い日本の気候が味にも影響し、甘さの調整も難しかった。
なにより苦労したのは、既にこの土地にあったマカロンのイメージを覆すことだった。本場の味とのギャップが大きいことから初めは興味を示されなかった。しかしジョスランさんの作品を口にした人々は、衝撃を受け「こんなマカロンは食べたことがない」と口々に言った。土地の文化の違いに衝撃を受けたと同時に、ジョスランさんの作品を通して本場フランスの想いや美味しさを伝え、皆の考えを変えていきたいと使命感のように強く思ったそうだ。「僕はお菓子づくりにおいて食感やテクスチャーをデザインすることが好きなんです。口の中の広がりや残り方、そこを考えるのが好き。自分の作品を喜んでもらうと同時にこれからもフランス菓子をどんどん伝えていきたい」。そう話すジョスランさんの手から生まれる作品が、この日もショーケースの中で光り輝いていた。
フランスの田舎で生まれ育ち、常に自然と隣り合わせで生活してきたというジョスランさん。現在も休日は頭を切り替えるために、自然と触れ合う時間を多くつくっているそう。「趣味のカメラを担いで、山登りをすることも多いです」とアウトドア好きな一面も。愛用するカメラは10年前、タヒチのボラボラ島に住んでいた時、奥さんからプレゼントしてもらった一眼レフ。これまでの経験と、この富山の地だからこそできる味を表現し続け、この富山の地だからこそできるライフスタイルを実践し続けている。
ジョスラン・ランボ
フランス・ヴァンデ出身。16歳でパティスリー業界に入る。フランス・イタリア・デンマーク・カナダの一流ホテルやレストランで腕を磨く。その後、フレンチポリネシアにある世界屈指の5つ星ホテルに引き抜かれ、国籍の違う多くのお客様にフランスの味を提供してきた。2013年に日本で開業。今までの経験とフランス人ならではの感性で、日本の素材を巧みに使い、地場とのコラボレーションをテーマとした商品を開発提供。20種類以上にもある、作り出すマカロンは鮮やかで美しく、どの種類も素材の味が最大限に活かされ、男女年齢問わず甘いものが苦手な方でも楽しむことができる。
写真: 中矢昌行
文章: メディアサーフコミュニケーションズ株式会社