2020 Spring - Summer Journal #04

Lighthouse Gin – Craft Gin

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Lighthouse Ginの蒸留製造リーダーを務めるレイチェル・ホール。ジンづくりの現場へ手を振りながらあたたかく迎え入れてくれた。ジン蒸留に関することであれば文字通り「なんでも全て」こなす彼女。原材料を混合し、瓶詰め、ラベル貼りまで丁寧に本ずつ手がける。

 

ニュージーランドはどこに行っても自然が身近な存在であり、林へ向かうことも多くの人にとって日常の一部だ。蒸留製造所から少し車を走らせた場所にはレイチェルが植物原料を摘むお気に入りの場所がある。あたりを軽く散歩しながら、彼女は野生のフェンネル、マヌカやカワカワを摘みバスケットに入れていく。

 

・・・

 

Interview “Finding perfection in simplicity”

 

「ようこそ、中へ入って!」。突風が吹くなか、レイチェルは微笑みながら少し離れたところから手を振る。ウェリントンにはよくある天気だ。白い藤の木が太陽を照り返して輝く。

 

Lighthouse Ginがあるマーティンボローからそう遠くないグレイタウンに生まれたレイチェルとのちのジン蒸留所との出会いは、彼女が十代だった頃地元のリンゴ農園でアルバイトをしていた時のことだった。オーストラリアで数年働いた後、地元に帰省した際に現在の夫と出会い、二人の子供に恵まれた彼女はかつて働いていたリンゴ農園を再び訪ねることになる。

 

「次男のジョセフが学校に行き始めたタイミングで、自分のために何かしたいと思うようになったんです」
りんごジュース工場で就ける役職を求めていたところ、気がつけば農園の窓口係として営業のアルバイトをしていた。当時は農園の空きスペースで、のちにLighthouse Ginの初代蒸留製造者となる同僚のニール・キャセラルが趣味でジンを作り始めていた。

 

「私たちの農園の裏にある建物で、ニールがひっそり一人でジンを作っていたんです」と彼女はにっこり笑う。ニールの手伝いをしていくうちに、彼女の興味は次第にジンに向かっていった。結果的に彼女は営業職を離れ、一人でジン製造の仕事に参入していくことになる。そのうち定年退職するだろうとわかっていたニールは、レイチェルにジン蒸留のユニークなものづくりの世界を教えることになる。

 

2014年にオーナーはFoley Wineryに蒸留所を売却。ニールはレイチェルに新しい蒸留製造のリーダーになってもらうことを願い、新しいオーナーたちも合意。熱心な訓練と数々のブラインドテイスティングののち、レイチェルは自分が作るジンがどのような味であるべきかを確信し、蒸留から瓶詰めまで全て一人で行うことができるようになった。

 

レイチェルは現在の蒸留所の周りを案内してくれた。赤い木造納屋の中に入るとそこにはセメントの床、高い天井、几帳面に整備された空間が広がっていた。背の高いシルバーのタンクが空間を占め、片隅に瓶詰め機とラベル貼り機が置かれている。レイチェルが蒸留されたてのジンをボトルに注ぐ所作を見ていると、ここにいるべくしている人であることが感じて取れる。魚が海を泳ぐように、レイチェルがジン蒸留に関わることは自然な運命だったのだ。暑い夏も寒い冬も、レイチェルは母であり妻でありながら、これらの工程を全て一人でこなす。並大抵のことではない。

 

「ジンのレシピが固まるまで5年かかりました。適切な水と使用する植物の割合を定めること。製造過程がシンプルでも、全て正しく行われている必要があるし、細かく味見をしながらベストな品質を追求しています。近道はありません」

 

・・・

 

2014年 にマーティンボローにあるLighthouse Ginでニュージーランド初の女性ジン蒸留製造者となる。無香料アルコール、地元の高品質な湧水を使用しジュニパーベリー、ニュージーランド産コリアンダーシード、シナモン、アーモンド、ケイヒ、ニオイイリスの茎、イェンベンレモンやオレンジなど厳選した植物性素材を用い、国産の中でもトップレベルの商品ラインナップを誇る。
lighthousegin.co.nz

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