突如やってきたおうち時間に、「食」の大切さを再認識させられた。旬のものを手に取り、丁寧に調理をして、器に盛って味わう。レシピの難易度とは無関係に、ただ、時間をかけて食と向き合うのはこんなにも楽しい体験だっただろうかと、スピードや効率を優先しがちなそれまでの生活を度々反省しながら手料理を口に運んだものだ。「どんな人とも楽しく食事ができることって素敵だなと思っていて」と話す吉田翔さんは、曽祖父から代々受け継がれた菓子屋の4代目。神奈川県横浜市を拠点に、有機素材を使ったプラントベーススイーツのブランド「LasOlas」を手がけ、食を通じた社会貢献に情熱を注いでいる。
スペイン語で「波」を意味する単語をブランド名に掲げ、趣味はサーフィンとスケートボードだというアウトドア派の吉田さん。「海水を吸収しても汗をかいても重たくならず、乾きの早さに驚きました」。icebreakerを着用して体感した、メリノウールの吸湿性について早速話してくれた。普通のウールとちがって洗濯機で弱アルカリ性洗剤を使って洗うことが可能で、自然乾燥できちんと形が戻るという丈夫さもメリノウールの特徴の1つ。「畳むとすっきりコンパクトになるので旅行先でも重宝しそうですね。これから長く使い込んでいきたいです」。
菓子屋の3代目だけでなくバックパッカーの顔も持っていた父親からの影響は大きく、吉田さんは幼い頃から海外に目が向いていた。15才で単身オーストラリアへ渡航したのを皮切りに、これまで数々の国を巡り、スペインではショコラティエとして修行も経験。旅のエピソードを聞いて、話を伺う中で垣間見た人当たりの柔らかさに納得がいった。
そうして様々なバックグラウンドをもつ人たちと接する中で、アレルギーや宗教上の理由などから「食に制限のある人」の存在を意識するようになったという。例えばスペインでは、街にあるどのレストランに入っても、メニューにヴィーガン料理が並んでいるのが当たり前。帰国後に友人と開催したホームパーティーでは卵アレルギーのあるお子さんと出会い、日本で提供されている食体験には「食に制限のある人」への選択肢がとても少ないのではないかと危機感が募った。「誰が食べてもおいしいお菓子、“ピーススイーツ”を作っていきたい」。そう決心を固くしたのは彼の中ではごく自然な流れだったのだろう。
吉田さんの曽祖父・門林弥太郎さんは、戦後の食糧難に悩みながらも「少しでもおいしく食べられるお菓子を」という一心で子どもたちにスイートポテトを振る舞った方なのだという。「お菓子を通じて人のお役に立てるこの仕事を誇りに思っています。どんな人と一緒でもみんなで誕生日がお祝いできる、それを当たり前の光景にしたいですね」と語る吉田さんの笑顔が印象強く残っている。
「お客様は商品を選ぶことはできても、それに使用される原材料までは選べません」。素材選びの重要性を話す表情からは、経営者としての責任感が伝わってくる。そして素材へのこだわりはお菓子作りには留まらないようで、今回の取材をきっかけに販売スタッフのユニフォームとしてicebreakerの配給を検討していると聞いて驚いた。「着心地がとても良く、すっかり気に入ってしまって。これからは衣服も“素材”に着目して選んでみたいなと思います。そしてicebreakerのように環境に配慮した商品を選択することで、少しでも社会に貢献していきたいです」。

吉田翔(Sho Yoshida) / 有機素材を使ったプラントベーススイーツのブランド「LasOlas」ブランドマネージャー。神奈川県横浜市を拠点に、食を通じた社会貢献に情熱を注ぐ。ショコラティエとしてスペインでの修行も経験。趣味はサーフィンとスケートボード。
写真: 山田薫 文章: 藤本麻子,メディアサーフコミュニケーションズ株式会社