TRANSPARENCY REPORT

羊と私たちの長い旅の記録 2/9

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icebreakerが、「着ること」「暮らすこと」について考え、2024年、2025年と更新されてきた「Transparency Report」の内容を日本語の解説と共に紐解く連載シリーズ『羊と私たちの長い旅の記録』をお届けする。シリーズ第2回は、「icebreakerのはじまり」と「僕たちが思うこと」だ。

自然と生きる私たちの旅は、今この瞬間にも続いている——ジェレミー・ムーンがニュージーランドでこの「人類の長い旅」に加わったのは、当時24歳だった1995年のことだ。

 

ミクロネシアのポンペイ島のメリノ羊牧場に滞在していたガールフレンドの影響で、農場主のブライアン・ブランケンリッジと昼食を食べた。その時にブランケンリッジが見せてくれたのが、メリノウールで作ったTシャツだった。シルクのような肌触りで、すぐに魅了された。ランチのあいだずっとTシャツを着たままで、それをブランケンリッジに返さなかったほどだ。メリノウールを使った「衣」を作ろう、ムーンがそう思ったのはこのときの体験が原点になっている。

 

icebreakerのはじまり

 

「業界では、『技術的に理想の』レイヤーとして、化学繊維の使用がもてはやされてきました。皮肉なことだといつも驚きます。正気なのかな?と思いますよ。肌に触れるものなのにプラスチックを使う? もっと良い方法があるはずです。そして、その答えは自然にありました」

 

icebreakerは、ムーンのそんな言葉とともに、1995年、ニュージーランドのウェリントンではじまった。メリノウールを使って良い製品を作る。そういう考えでムーンの旅はスタートした。そして、だんだん、メリノウールには、「シルクのような肌触り」ということだけではなく、もっと広く、深い意義をもたらす可能性があると確信するようになった。

 

 それは例えばこういうことだ——メリノウールの牧場主と長期的に契約して共に事業を進めていくというサステナビリティを実現すること、羊たちを人間とともに旅を進める友人として扱うという動物に対する福祉を考えること、共に働く従業員やコミュニティを暮らしを豊かにすること、そして、何よりも人類が「衣」を通して自然と深くつながっていくこと。

 

人間は完璧な生き物ではない。自然や動物と戦うような日々もあった。けれども、自然環境の中に生きるものとして、自然や環境と調和し、共生していく方法があるはずだ。過剰消費や動物虐待、有毒物質の排出、基本的人権を尊重しない労働環境、不透明なサプライチェーン——様々な問題の多いアパレル業界のなかで、メリノウールを使った「衣」がもたらすことは沢山ある。

 

僕たちが思うこと、そして6つのニュース

ジェレミー・ムーンとヤーン・ファン・モーセフェルデの言葉

 

「icebreakerとは『氷を砕く(緊張をほぐす、打ち解ける)』ことです。icebreakerは、石油化学系合成繊維の代替品として、ナチュラルなパフォーマンスウェアを倫理的かつサステナブルに生産するパイオニアです。私たちにはウェアを作る以上に高い目標があります」

 

ムーンがそう語る「icebreaker」というブランドはどういう活動をして、何を目指してきたのか——。

 

「人間同士、そして周囲にある自然とより深くつながろうとするムーブメントが世界的に広がっていますが、私たちはその一部であることを誇りに感じています」とムーンが語り、ムーンと共に事業を続けてきた、現在のCEOヤーン・ファン・モーセフェルデはこう言う。

 

「自然は、いつも、これからも私たちの旅を導いてくれます。Move to natural——今ほど、自然と共生していくのに適した時代はないのです」

 

 icebreakerの考えるメリノウールを通して活動を広く発信するためのものがこのトランスペアレンシーレポートだ。このレポートを通して、私たちが改めて自然と私たちの関係を考えられるようになるといい。そして、羊を巡る旅にあなたもぜひ加わって欲しい。そう考えている。

 

「残り4%から3%へ」へ続く

Illustration by Akina Haga

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