icebreakerは、自然と共生し、私たちの「着ること」「暮らすこと」をより良くするための活動をまとめた「Transparency Report」を、2017年から発表してきた。2024年そして2025年とアップデートされたこのレポートの内容を日本語の解説と共に紐解く連載シリーズ『羊と私たちの長い旅の記録』をお届けする。シリーズ第3回は、「残り4%から3%へ」だ。
トランスペアレンシーレポートの最初で、icebreakerがまず伝えたいのは「Progress Over Perfection」(完璧を目指すよりもまずは進もう)という言葉と実績だ。
「2023年までの事業の目標の一つは、製品を構成する素材を100%プラスチックフリーにすることだった。けれども、達成率は96.14%で、目標に到達しなかった。それを、まずは素直に認める。そして、わずか4%到達しなかったことを誇りを持って、その結果をありのままに発表したいと考えている」(Transparency report 2024、以下同)
それが、残り4%から3%になった
2018年の段階で、icebreakerの製品を構成する繊維の84%が天然あるいは植物由来のものだった。この年にプラスチックフリーの取り組みを始め、その後icebreakerは2020年に「天然の素材を使って製品を作る割合を2023年までに100%にする」という目標を掲げた。しかしながら、2023年までの活動を振り返るに、達成率は96.14%で目標に届かなかったというわけだ。
けれども、icebreakerは、それをとても誇りに考えているのだ。たった残り4%のところまで来た。下の方から見えなかった大きな山の頂上が、すぐそこに見えているのだ。何もしなければ、進捗はゼロだ。だが、人間は完璧ではないけれど、進み続けることはできるし、新しい景色をみることができるのだ。だから、残り最後の4%は、間違いなくやりがいのあるものになるはずだ。2023年の結果を踏まえて、改めてそう思った。
そうやって、天然素材をまだ使っていない製品やパーツを無くす、あるいは、バイオベースの代替え素材に切り替える試みを継続した。そして、2024年には、その歩みをさらに進めることができた。製品を構成する天然繊維の割合を、まず97.10%まで増やすことができた(つまり、残り約3%のところまできた)。製品に使っている全ての繊維のうち、いまメリノウール自体の割合は84.50%になった。その活動を継続しながら、繊維以外のパーツも含めて、全てを天然由来の素材にしていこうと考えている。
「自然は人間が征服するものではなく、共生する仲間なのです」
「衣」を作るために、自然環境に悪い影響を及ぼすよりは、自然からヒントをもらい、自然とともに活動していくほうがいい。メリノウールを始めとして、様々な素晴らしい素材が自然界にはある。「自然に聞けば何でも分かる」のだ。そして、これを実現するためには、沢山の仲間が関わっている。
icebreakerは、製品を構成する天然繊維の割合を増やし、天然繊維ではない素材やパーツは、そういうわけで、2023年段階で残り4%まで、2024年段階で残り3%に減らすことができた。その道のりと、これからもずっと一緒にその歩みを進める仲間を大切にしたいと思っている。
それは、例えばこういうことだ。
(「どうやるかに尽きる」に続く(2025年6月中旬公開予定))
Illustration by Akina Haga